いまさら「マリア様がみてる」
コバルト文庫から離れて幾星霜、若かりしころには氷室冴子の「クララ白書」「アグネス白書」にも親しみましたが、いつしか書棚の前を通り過ぎるようになりました。機会に恵まれ、「マリア様がみてる」を読むことになったのですが、2日間で与えられた2冊とも読んでしまいました。
主人公に平凡な女の子を据え、その周囲にスーパー女子高生を色とりどりに配置する、コバルト王道路線ですが、カメラ小僧(?)蔦子さんや「リリアンかわら版」を出す新聞部の部長の存在を面白く感じました。女の子がかわいい女の子に萌えるのを肯定する「観察者」の視点。彼女がいることにより、主人公の祐巳ちゃんも萌えキャラになることができるのだと思います。コバルト文庫などの少女小説はおおよそ読者が主人公になるようにできているように感じる(一人称で話が展開することが多い)のですが、「マリア様がみてる」では一人称的な文体であるにも関わらす、あえて「わたし」は用いられていないところに好感が持てますし、そのお陰で抵抗なく読み進めることができました。
新装丁のイラストはなんと谷川史子さんになっているようですが、ここはあえてもともとの表紙のもので。